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内部留保は企業がため込んでいる現金だと思ってない?

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図1:貸借対照表の利益剰余金

テレビの割とまともな番組で、立て続けに「日本の企業は内部留保をため込んでいるから景気が良くならない」なんて話をしていました。


テレビの人は、内部留保をため込んで、企業がお金を使わないと言っているのです。

企業は、内部留保を吐き出して設備投資などに回しなさいって話を続けています。

何だか話が分かりにくい。どうやら内部留保を、企業が持っている現金のように話しているのです。


この「内部留保」ってのは、企業会計の勘定科目にはありません。そもそもは、旧商法の「利益処分」で使われていた言葉だと思います。

旧商法では、企業の純利益を「株式配当金」や「役員報酬」や「内部留保」などに振り分ける「利益処分案」を作成して「株主総会」で承認を得る必要がありました。

利益処分なのです。そもそも、利益は株主のものです。それを株式配当金として受け取るか、内部留保として会社の資本を厚くして設備投資とか研究開発に振り向けるかを株主総会で決めるのです。

新会社法では「利益処分」という概念がありませんので、純利益のうち「株式配当金」に回した残りが「内部留保」と言えます。これらが積みあがったのが「貸借対照表」の「純資産の部」に記載されている「利益剰余金」とかです。


--みょ 資本金と同じところに書いてあるみょ

うん。そうなのです。資産の出所が「利益」だということです。

株式会社は、投資家からの出資を募ったり、お金を借りたりして集めたお金で、設備投資をしたり仕入れをしたりして利益を得ます。

お金を集める一つの手段が「内部留保」なのです。

ですから、内部留保が多いか少ないかというのは、配当金に回していないとか、お金を借りていないとかを見ないとわかりません。つまり、「配当性向や自己資本比率」で評価されるものなのです。


「内部留保」された利益は、現金だったり、仕入れに使ったり、設備投資に回したり、研究開発に使われたりします。借入金の使い道と一緒です。

もしも、「内部留保をため込んで投資に使っていない」というような理論を展開するのなら、内部留保で増加した資産が貸借対照表の「現金預金」に回って、活用されていないというところを見ないといけません。

要するに、現金預金が余剰で、毎年増加していると思っているのです。

でも、実際に毎年上場企業3000社以上の貸借対照表をチェックしていますが、現金預金が余っていて毎年増えているといった企業はわずかです。

つまり、「内部留保」は積みあがっているけど、ちゃんと投資に回していると見ています。


きっと。テレビの人は、貸借対照表の左側(借方)に書かれる「資産の部」の「現金及び預金」と、右側(貸方)に書かれる「利益剰余金」を意識せずに話しているのだと思います。

だから、視聴者の頭の上に「????」マークがたくさん出ているのではないかと思うのです。

きっと。一度でも「内部留保をため込んでいる」と思う企業の財務諸表を見れば解決するのです。

日本の企業は、別に必要以上に現金預金をため込んでいるわけではないと思っています。

絵で見る債務超過 -6502 東芝の債務超過を受けてー

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図1:貸借対照表のからくり

2017年04月11日に6502 東芝が監査法人からの監査適正意見を得られないまま第3四半期決算短信を発表しました。


監査適正意見を得られないままというのは想定外ですが、内容は想定通りの債務超過でした。債務超過額は2,257億円となっています。

今までも「債務超過」については触れてきましたが、良い機会ですので、もう少し掘り下げてみたいと思います。

今まで触れてきたように「債務超過とは資産をすべて売却しても負債が返済できない」ことです。

この「債務超過」は公表義務のある決算書類の「貸借対照表(B/S:Balance sheet)」に現れます。

--みょ どの企業も公表しているの?

うん。上場企業は必ず金融庁のEDINETで閲覧できます。また、非上場の株式会社でも登記してある公告方法に従って公告されます。


株式会社は投資家から出資を募ったり、借金をしたり、利益を内部留保したりしてお金を集めます。その集めたお金を使って工場を建てたり、機械を買ったり、材料を仕入れたりします。

どうやって集めたお金か」と、そのお金が「どんな形で残っているか」を表しているのが「貸借対照表」です。

貸借対照表にはいろいろな情報が詰め込まれていますので、いろいろな勘定科目が並んでいます。そのままではわかりにくいので、大幅に簡略化したのが図1になります。

左側に残っている形を記載して、右側にはどうやって集めたお金かを記載します。

--みょ んでも集めたお金は使っちゃうみょ

うん。例えば100億円で工場を建てたとすると、100億円の現金(流動資産)が100億円の工場(固定資産)にかわります。その時には資産の総額は変わりません。その工場を稼働させていく間に減価償却費として費用計上されていきます。

そして、企業活動全体の損益が内部留保という形で貸借対照表に現れてくるのです。材料を買ったり、クリアファイルなどの消耗品を買った時も同じです。


図1をもっと単純にしてみます。

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図2:図1をもっと単純化

貸借対照表では、負債と資本の合計額が資産の総額になります。バランスシートなのです。

資産=負債+資本 ----(1)

この式を変形すると資産と負債の差が資本ということになります。

資本=資産ー負債 ----(2)

通常は負債よりも資産のほうが多いので、資本はプラスです。ところが、資産が減って負債が増えてくると様子が変わってきます。

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図3:貸借対照表のからくり(債務超過)

--みょ 資本の入り込む余地がないみょ 負債のほうがはみ出しているみょ

うん。式2で計算すると、資産よりも負債のほうが大きいのですから、資本がマイナスになります。

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図4:図3にマイナスの資本を追加

この状態が債務超過です。資本がマイナスの状態とも言い換えられます。


債務超過の状態だと、資産をすべて簿価(帳面に記載した価格)で売却しても借金が返せずに残ってしまう状態です。

今回6502 東芝が半導体部門を売却しようとしているのは、大きな利益を出している部門なので、簿価よりも高く売れるということです。

ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニーの「のれん」で債務超過に陥ったから、半導体部門に大きな「のれん」を付けて売却して穴埋めしようとしているのです。

このことからも分かるように、資産評価額というのはなかなか難しいところが悩みどころだったりします。

今さら聞けない キャッシュ・フロー計算書

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図1:たまたま今日決算発表をしていた銘柄のキャッシュ・フロー計算書

上場企業には、貸借対照表(B/S)損益計算書(P/L)キャッシュ・フロー計算書(C/S)株主資本等変動計算書(S/S)の作成と公開が義務付けられています。


今まで「貸借対照表」と「損益計算書」は何度か取り上げてきました。でも、「キャッシュ・フロー計算書」は避けてきました。

もきち♪が企業会計を勉強したのは、中小企業診断士受験時代が中心です。中小企業診断士には平成6年度に合格していますので、勉強していたのは平成5年の話です。

キャッシュ・フロー計算書は1999年度(平成11年度)から上場企業への作成が義務付けられていますので、ぶっちゃけちゃんと勉強していないのです。

とは言っても、資金繰り表は勉強していますし、ざっくりとは勉強したのですが、はっきり言って何を見たらいいのかよくわかりません。はい。避けていました。

--みょ 修業不足だみょ

はい。完全に修業不足です。ということで、今回まじめに調べています。


企業会計は「発生主義」が原則です。

--みょ?

うん。企業はあまり現金でのやり取りはしません。例えば製造業が製品に使うネジを買った場合、現金で支払うのではなくて、お金の代わりに支払手形を発行します。

そして、追加で買ったネジとか、別の種類の部品とかをまとめて月末締めの翌月払いなどで支払います。

でも、もうネジは製品に使って製品を出荷している場合もあります。お金を払っていないのに、出荷してしまいました。

このネジをいつ購入処理をするのかという問題が出てきます。

企業会計の基本は、ネジを受け取ったときにはもう購入しているのだから、「ツケ」で購入したとします。勘定科目として「ツケ」ってわけにもいきませんので、「買掛金」として処理します。

そして、ツケの支払いが済んだ時に「買掛金」を処理します。

これが「発生主義」です。

これに対して、実際にお金のやり取りをした時点で帳簿をつけるのが「実現主義(現金主義)」です。

「発生主義」ではお金をやり取りする事象が発生した時に計上しますので、損益とかがわかりやすい利点はあります。でも、ちゃんと支払いのための現金が手当てできているかがわかりにくい。

通常。費用は売上よりも先に必要になります。例えば小売業だと、商品を仕入れてからその商品を売るわけです。仕入れが先です。調子に乗って商売を広げると、売り上げは上がっているのに仕入れ代金を払えないなんてことになります。

支払いができないと倒産につながります。よくある黒字倒産のパターンです。

それは困るってんで、「実現主義」で資金繰り表やキャッシュ・フロー計算書を作成します。


キャッシュ・フロー計算書の大まかな構成は「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」となっています。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、通常の営業活動でのキャッシュ・フローです。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、設備投資や有価証券投資などによるキャッシュ・フローです。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、負債などの財務活動によるキャッシュ・フローです。

調子のいい会社は、利益が上がって「営業活動によるキャッシュ・フロー」がプラスで、設備投資などで「投資活動によるキャッシュ・フロー」がマイナスで、負債を返済して「財務活動によるキャッシュ・フロー」がマイナスなんてパターンになります。


ファンダメンタルズ分析では「フリーキャッシュ・フロー」という言葉を聞きます。

--みょ キャッシュ・フロー計算書に出てこないみょ

うん。出てこないというか、出ているというか、計算して求めます。ざっくり言うと、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計です。

このフリーキャッシュ・フローは、企業が自由に使えるキャッシュ・フローと言えます。

設備投資に使うのも、負債の返済に使うのも自由なのです。どう使うのか見ものです。


キャッシュ・フロー計算書は、とても一度では検討できません。

でも、とりあえずざっくりとは確認できましたので、今後修行を続けたいと思います。

今さら聞けない のれん

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「のれん」を守るってきっと大変なことです。


「のれん」はただの布切れですが、その布切れには壮大な歴史があって、その「のれん」を信じてすべての顧客がくぐって、「のれん分け」をすれば本家の信念と顧客の信用が宿っていると言えます。

物質的な価値はほとんどなくても、物質的価値だけでは到底測れないお店の本質ともいえる価値が宿っていると思います。

--みょ 「のれん」はおいしさの証だみょ

うん。お金では測れません。


でも、企業会計ではこの価値を金銭的に評価しないといけない場面が出てきます。

例えば、何百年も続いているそば屋さんの名店を職人さん込みで買収する場合、その門外不出の製造方法や風格ある店構えや長く常連となっている顧客などをまとめて買収することになります。

ここで、そば屋さんの資産が1億円だったとして、妥当な買収金額はいくらになるのでしょう。1億円の中には、お店の不動産価値はもちろん、什器の価値や、厨房設備など形あるもののすべての価値が含まれています。

でも、職人さんのノウハウや、門外不出のレシピや、顧客からの信用は含まれていません。本質はそこにあっても、資産には含まれていないのです。

きっと資産とは全く関係なく適正な買収価格が決められると思います。もちろん1億円の何倍もの価値なのでしょう。


では実際に5億円で買収したとして、買収した側の会社で考えてみます。妥当と思える5億円で老舗のそば屋さんを買収したのですが、実際に増えた資産は1億円となってしまいます。

5億円で1億円の資産を買ったとなると、4億円の損失です。でも、実際に買ったのは1億円の資産などではなくて、職人さんのノウハウや顧客からの信用ですから、適正価格の5億円なのです。

そば屋さんの「のれん」に4億円を支払ったのです。いや、物質的な「のれん」に価値があるわけではなくて、形に表せない「のれん」に4億円を支払っています。

ということで、買収した側の資産には「のれん」が追加されることになります。物質的ではなくて形に表せないほうの。

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図1:たまたま見つけた貸借対照表


この「のれん」に計上するのは「買収額」と「買収した企業の資産」の差ということになります。老舗のそば屋の例では、買収額5億円とそば屋さんの資産1億円との差4億円が「のれん」として買収した側の貸借対照表の「無形固定資産」に計上されます。

これで、5億円のお金で1億円の資産と4億円の老舗そば屋のノウハウと顧客からの信用などを買収したことになります。貸借対照表はすっきりしました。


でも、このノウハウとか信用とかって金銭に表すことが難しい。また、買収の場合はいいのですが、そもそも買収話がない場合にこの老舗のそば屋が勝手に「のれん」を貸借対照表に計上することは禁じられています。

買収されたらちゃんと価値を認めてもらえるものでも、買収がなければ会計処理上まったくの無価値なのです。

また、実際の買収価格って当事者が決めるものです。「3億で買いたいみょ」3億じゃいやだみょ」「んじゃ 5億だすみょ」「うにうに それなら売るみょ」ってなもんです。

不透明です。わかりにくい。困ったものです。


「のれん」ってのは妥当性を図るのが難しい勘定科目だと思います。いや。実際には買収額と資産との差なのですから妥当なのですが、問題は「買収額が妥当なのか」ってのがわかりにくいのです。

では、「のれん」をやめて、買収時に「特別損失」として処理するのがいいのかというと、それもなんだかしっくりきません。

PBRが1倍を切るのが異常なのと同様に、企業買収では資産よりも高額な買収額となるのが自然です。それなのに「損失」だといわれても実態を正確に表しているとは言えません。

ここは、貸借対照表を読む側が「のれん」の妥当性を個別に評価するしかないのかと思っています。

決算短信をやっつけでチェック(した気になる?) 超手抜き確認方法 その2

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図1:SBI証券 決算発表スケジュールに加筆

その1」でSBI証券決算発表スケジュール一覧を表示しました。


図1を見ていきます。注目は「種別」(1)と「今期経常 会社予想達成率」(2)、「会社予想経常利益」(3)、「コンセンサス経常利益」(4)です。

損益はすべて「経常損益」で、百万円単位で記載されています。

このうち、(2)は今決算期のここまでの累積「経常損益」で、(3)は今決算期の通期会社予想で、(4)はアナリストの通期予想の平均値です。


損益ってたくさんあります。この一覧表では「経常損益」を扱っています。

経常損益とは一言でいうと「通常の会社の活動の成果」です。通常の活動ですので、ほぼ毎年発生する項目の損益です。

では、通常ではない損益は何かというと、例えば昔から会社が持っていた土地を売却したら帳簿の価格(簿価)よりも高く売れたときの利益とか、自然災害の被害にあって損失が出たとかの「特別」な損益です。

特別な損益はその会計年度だけの「特別損益」なのです。毎年自然災害の被害にあっていたのではたまったもんじゃありません。

企業の状態を調べるのにこの「特別損益」が一緒になっているとややこしいから、通常の活動の成果だけ見ようってんで、経常損益がよく使われます。


まず、調べたい会社に注目します。

もきち♪はあまり規模の小さい会社はよくわからないので、ざっと飛ばしています。一覧の中で(3)の「会社予想経常利益」を見て、5桁以下(1000億円未満)の会社は読み飛ばしています。

図1で「会社予想経常利益」が2680億円の「4503 アステラス製薬」を例に進めます。


(1)で会計年度のいつの決算なのかを見ます。3Qとありますので、第3四半期までの累積経常損益です。

下に表示されている「会社予想達成率」は(3)に対する累積経常損益の割合です。季節変動の影響が少ない企業なら、第3四半期ならば75%達成している必要があるということになります。

アステラス製薬の場合は91%の達成率ですから、次の第4四半期で9%の経常利益があれば会社予想を達成することになります。

四半期で年間利益の9%というのはあまりにも容易な目標となりますので、どこかで会社予想が上方修正される可能性が高いということになります。


マーケットのえらいさんたちは上方修正されそうだということは先刻ご承知ですので、(4)のコンセンサス経常利益は(3)の会社予想よりも高くなっています。

でも、この(3)コンセンサス経常利益と(2)との比率を計算しても、88%の達成率となります。コンセンサスも上方修正される可能性が出てきます。


会社予想は控えめに発表する傾向があります。下方修正はしたくないのです。それに対してマーケットのえらいさんたちはぴったりの数字を予想しますので、通常は(3)よりも(4)の方が少し高めの数字になります。

ところが、これが逆転していたり開きがあまりにも大きい場合は注意が必要です。いや。会社予想達成率が高くて、今回の決算短信で会社予想を上方修正して、ポジティブサプライズだったからまだコンセンサスが反映されていないのならいいのです。

でも、上方修正がなくて逆転している場合は注意が必要です。

今回の決算短信でも気になる企業がありました。第3四半期決算なのに会社予想達成率が50%程度で、コンセンサス予想も会社予想よりも低いのです。これは下方修正される可能性が高いということになります。


今回の手順は「超手抜き確認方法」です。この方法なら数百社の決算を数分でチェックすることも可能です。

この一覧表で気になった銘柄についてちゃんと調べればいいのです。口座を持っていてログインしていれば、銘柄名をクリックするだけで銘柄のページが表示されます。この手順のためだけにでも口座を開設する価値はあると思っています。

口座を持っていない場合でも「銘柄コード」がわかるのですから普段使っているツールで調べればいいのです。

あくまでもお手軽に数をこなす方法でした。


プロフィール

もきち♪

Author:もきち♪
個人事業主ですが株式投資のほうが主体になっています。

投資スタイルは逆張りナンピン。チキンになりきれないひよこ投資家™でピヨピヨトレードです。

2007年に投資信託を始めて、2009年に国内株式の個別銘柄投資を始めました。

中小企業診断士(診断業務休止中)でオンライン情報処理技術者です。

ブログでは株式投資とコンピュータの話を中心に書いています。

きほんゆるめに。。。

【FISCOソーシャルレポーター】ってのに公認されました。


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