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今さら聞けない 行動経済学

   

前回の記事で、百万円の半分も、1万円札の値段もちょっと複雑だということがわかりました。


過去に主流だった経済学は、全ての情報はすぐに価格に反映されるという「合理的期待仮説」とか「効率市場仮説」を前提にしていました。

そこに参加している人間は、常に合理的な判断ができる「経済人(ホモ・エコノミクス:homo economicus)」で、常に「経済的合理性」に基づいて判断しているということです。

--みょ 大人はみんなそうだみょ もきち♪だけが愚か者だみょ

いえ。もきち♪以外でも、合理性だけでは説明がつかないことが起こる。そんなことは今までのえらい経済学者もわかっていたと思うのですが、学問として取り上げるには合理性というよりどころが必要なのです。


これは経済学に限ったことではありません。例えば「物理学」。

--にょ 物理は理論通り動くみょ 鉄球には心理学は働かないみょ ニュートンにアインシュタインだみょ

いえ。心理学的要因のことじゃなくて、単純にしないと学問としては扱いにくいのです。「なお、摩擦はないものとする」って言われたら摩擦力のない世界だし、「なお、質量はないものとする」って言ったらまったく質量がない物です。

単純化して理屈がわかってきたら、摩擦も質量も考慮して、工学に発展して無人ロケットが火星に到達できるのです。


経済学も、心理というややこしいものをひとまず置いといて、人は合理的判断をするという仮定で基礎を築いたと思います。

そして、今まで気が付かないふりをしていたけど、実際は違うよねってことで「行動経済学(behavioral economics)、心理学と経済学(psychology and economics)」が研究できるようになったのではないかと思います。

きっかけは心理学者だったようです。言われてみれば前回取り上げた「1ドル札オークション」ってのはいかにも心理学者が考えそうな実験です。


例えば、神戸製鋼<5406>が性能データの改ざんを発表したときに、株価に与えるインパクトというのは今までの経済学で計算できると思います。

でも、実際にいくらで寄り付いて、新しい材料がなかったときにどのような値動きをするのかということは、市場心理を予測しないと予想できません。

そして、市場心理はいろいろな要素に影響を受けます。それこそビッグデータです。

行動経済学とAIがどんどん進むと誰も損しなくなるのか、誰も勝てなくなるのかと言ったところなのかもしれません。

市場にAIしかいなくなったら心理学でも処理できなくて、また次の展開があるのかもしれません。

案外今のうちに人工知能のロジックを研究した方がいいのかもしれません。

1ドルはいくら? 1ドル札オークション

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図1:1万円札

前回の記事で百万円の半分というのがややこしいことがわかりました。


では、1万円札はいくらでしょう。

--みょ? 1万円札は国が保証しているみょ 1万円だみょ

うん。1万円札を持っていけば1万円分のお買い物ができます。銀行に預ければ預金額が1万円増えます。1万円札がほしければ銀行で1万円分の預金と引き換えに手に入ります。

でも。この1万円札が1万円以上の価値を持つことがあります。有名なオークションです。

--みょ それはいけないやつだみょ

いえ。犯罪に関するものではなくて、純粋に学術的な実験です。「1ドル札オークション実験」と呼ばれて、行動経済学では有名な実験のようです。


ハーバード大学で、数十人の投資のスペシャリストや経済専門家、金融のプロなどが参加して100ドル札のオークションが行われました。

--むに? 100ドル札?

うん。いろいろあるようです。でも、大切なのはルールです。

1.5ドルからスタートして5ドル単位で引き上げます
2.1番高値をつけた人が落札します
3.2番目の高値をつけた人は何ももらえないだけではなく、自分の最後の入札額全額を支払います



1番2番は普通ですが、3番がトラップです。

つまり、95ドル以下で落札すれば儲かりますが、その時に2番目の90ドルを付けた人は95ドルで落札されると丸損です。儲けはなくなってもいいから100ドルのコールを入れます。

そうなると、95ドルを付けた人は、95ドル丸損です。不条理だとはわかっていても、95ドルの損失を5ドルの損失に減らそうと105ドルで入札します。

もう止まりません。損をすることがわかっていても、200ドルでも300ドルでも降りられません。600回実施して1度も落札額が100ドルを下回らなかったとのことです。落札できても損をするのがわかっていても降りられないのです。

改めて問題です「1万円札はいくらでしょう」。

--みょ そんなオークションには参加しないみょ

うん。冷静に考えればそうなります。でも、500円で1万円札が手に入るかもしれません。これが、100万円だったらどうでしょう。300円スタートの10億円だったら?

--ぎゃ 1ドル札オークション嫌いだみょ


投資のスペシャリストや経済専門家、金融のプロなどがトラップに引っかかるというのです。一度入札したら抜けられなくなる危険なオークションなのです。

結局。5ドルで100ドル札が買えるかもしれないという甘い罠と、最後に競り負けたらそれまでの入札額が丸損だという2つのルールだけで、いい大人が大きな損失に向かうのです。

この実験が本当に行われて、本当にプロたちが何十人も参加して600回実施されたかどうかはわかりませんが、実施すればトラップだとわかっていても損失に向かうように思います。何しろ宝くじが毎回飛ぶように売れるわけですから。

100万円の半分はいくら? プロスペクト理論

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図1:百万円

百万円の半分っていくらでしょう。


--みょ 唐突だみょ 百万円の半分は50万円だみょ

うん。100万円÷2は50万円です。でも、半分と言ったときに本当にいつも2分の1と考えていいのでしょうか。

例えば、お金がもらえるとします。もらえるお金は以下のうちどちらかを選べます。

1.必ず50万円がもらえる
2.サイコロを振って、奇数なら100万円もらえて、偶数なら一銭ももらえない いかさまは全くできない


--うに まったくもらえないのは嫌だから1で50万円もらうみょ 焼肉いくみょ

期待値はどちらも50万円で一緒です。百万円の2分の1です。


では、1でもらえるのが50万円ではなくて、45万円だとどうでしょう。

--みゅぅ んでも焼肉いけなくなるのは困るから45万円で我慢するみょ

期待値は1が45万円で、2が50万円ですので2のほうが有利なのです。でも、確実にもらえる45万円を選ぶ人は少なくありません。

では、40万円ならどうでしょう。

--うにぃ 40万円だと大分損するみょ んでも焼肉行きたいみょ 迷うみょ


迷うというのは、この条件に限って言えば、2分の1の確率でもらえる百万円と、必ずもらえる40万円とが同じような価値に見えるということです。期待値では8割の価値しかないのにです。

改めて問題です「百万円の半分はいくらでしょう」。

--むに だんだんわからなくなってきたみょ

うん。仮に百万円だと冷静に期待値通りの判断できたとして、10億円だとどうでしょう。100億円なら?逆に1,000円だったら?100円なら?判断が変わってくるかもしれません。

人の感じる価値というのは数字よりもちょっとだけ複雑なのです。


これらを学術的に研究したのが「プロスペクト理論」です。

プロスペクト理論では、上の例も、もらえるのではなくて借金がある場合に借金を免除するケースだと結果が逆なると言われています。


投資で考えると、利食いが早くて損切りが遅くなるというのが「プロスペクト理論」で説明できてしまいます。

評価益が出ると、この先上昇して利益が上乗せされる期待よりも、下落してせっかくの評価益が逆に評価損になってしまう恐れの方が大きくなる場合があるのです。

評価損の場合はこの先下落して評価損が膨らむ恐れよりも、上昇して評価損が評価益に変わる期待の方が大きくなる傾向があるのです。

人の経済行動は数字通りではありません。これらの経済と心理学を分析するのが「行動経済学」で今年のノーベル経済学賞だったりするようです。

もう少し勉強してみようと思っています。行動経済学。

今さら聞けない 25日騰落レシオ

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図1:25日騰落レシオ

相場の過熱感を測る指標として「騰落レシオ」があります。


騰落レシオは値上がりした銘柄数を値下がりした銘柄数で割って求めます。値上がり銘柄数が多ければ大きくなって、値下がり銘柄数が多ければ小さくなります。値上がり銘柄数と値下がり銘柄数が同じなら100%となります。

数字が大きければ相場が過熱していると言えます。ところが、この騰落レシオというのは変動が激しい。

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図2:騰落レシオ

--みょ 1734%ってもうパーセントじゃないみょ 17倍だみょ

うん。120%を超えてくると過熱しているといわれていますが、とても100%近辺を詳しく見ることはできません。


ということで、1日の騰落レシオではなくて、連続した営業日の騰落レシオが使われます。特に、単に「騰落レシオ」と言う場合には「25日騰落レシオ」を指す場合が多いようです。

--みょ 移動平均?

う~ん。考え方は移動平均に似ていますが、騰落レシオの移動平均だとちょっと思ってたんと違います。

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図3:25日騰落レシオ

--みゅ? ずっとプラスだみょ ずっと過熱しているみょ

うん。全ての銘柄が値下がりすると0%なのに対して、すべての銘柄が値上がりすると無限大です。この6ヶ月でも最高1734%です。不公平です。

そこで、騰落レシオの移動平均を取るのではなくて、その期間全体の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って求めます。「25日騰落レシオ」だったら、25日間の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って求めます。


何の断りもなく「騰落レシオ」と言った場合には、この25日間の値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割った「25日騰落レシオ」のことを言っている場合が多いと思います。

120%を超えて来たら過熱感が出ていると言えます。今はかろうじて120%を切ってきましたが、ここのところ高い状態が続いています。何かきっかけがあると全面安になるのかもしれません。

バフェット指標がそろそろ危なくなっています

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図1:バフェット指標(東証1部)四半期足20年チャート

日経平均は相変わらず堅調です。選挙があると上昇する場合が多いようですので、まだ上昇するのかもしれません。


バフェットさんによると、株式市場の時価総額がGDPを大きく上回ることはないと言われています。

時価総額がGDPを上回っていると、相場が過熱しているというのです。この過熱度合いを数値化したのが「バフェット指標」です。

時価総額をGDPで割って求めます。バフェット指標が1を超えてくるとGDPを時価総額が上回っているということですので、過熱気味です。


GDPは四半期ごとに内閣府から発表されています。

ということで、6月までの名目GDP(季節調整あり)と東証1部の時価総額からバフェット指標を計算したのが図1です。バフェット指標1のところに一点鎖線を引いてみました。

--みょ 過熱だみょ あちちだみょ

うん。バフェット指標だけで見ると6月末で109%と過熱水準にいます。そして、今は6月末よりも日本株全体が上昇していて、時価総額も上昇しています。

残念ながら今のGDPは発表されていませんが、便宜的に6月のGDPを使ってバフェット指標を計算すると、115%となっています。

チャートに乗せてみます。

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図2:図1に2017年9月予想値を追加

--みょ 20年高値だみょ 燃えちゃうみょ

うん。よほどGDPが上昇しない限り、今のバフェット指標は大変な高水準と言えます。


割高を示す指標がありながら、上昇に乗り遅れないようにチキンレースを繰り広げているのかもしれません。

チキンレースとなると、下落に転じたときには一気に売りが広がるかもしれません。

チキンになり切れないひよこ投資家™としては、なかなか参入しにくい相場が続くのかもしれません。

プロフィール

もきち♪

Author:もきち♪
個人事業主ですが株式投資のほうが主体になっています。

投資スタイルは逆張りナンピン。チキンになりきれないひよこ投資家™でピヨピヨトレードです。

2007年に投資信託を始めて、2009年に国内株式の個別銘柄投資を始めました。

中小企業診断士(診断業務休止中)でオンライン情報処理技術者です。

ブログでは株式投資とコンピュータの話を中心に書いています。

きほんゆるめに。。。

【FISCOソーシャルレポーター】ってのに公認されました。


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